辻井義春さんの多田謡子反権力人権賞受賞を祝福する
〜今こそ国鉄「改革」の総括を〜


1.JR東日本でただひとり、不当処分を受けながらも国労バッジを着用し続け闘っている辻井義春さんに、第21回「多田謡子反権力人権賞」が贈られること になった。他の受賞者は、「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」及び「上関原発を建てさせない祝島島民の会」である。辻井義春さんは、この賞を受賞す るに最もふさわしい人物であり、当研究会は受賞を心から歓迎する。

2.この賞を主催する多田謡子反権力人権基金は「1986年12月18日、29歳の若さで夭折した弁護士・多田謡子さんを記念し、その遺志を将来に生かす ために、謡子さんの遺産に有志のカンパを加えて、1989年6月13日設立された」ものであり、「毎年、謡子さんの命日である12月18日前後に、国家権 力をはじめとしたあらゆる権力に対して闘い、人権擁護に尽くした団体および個人を顕彰して賞金を贈呈するとともに、受賞者の講演会を開催して、人権擁護に 関心ある人々と広く交流していくことを、主たる目的」とする団体であることを明らかにしている。そして、現実にこの説明通り、時代の中にあって最もおぞま しい権力に対し、先駆的だが孤立した闘いを続ける個人・団体を祝福すると同時に鼓舞する目的で選定されてきたものである。

3.JR東日本の不当支配と闘う辻井さんにこの賞が贈られることは、国鉄改革に反対する労働者に暴力を振るって強行された国鉄解体と、国鉄労働者・事故犠 牲者の血の犠牲の上に成立した民営JR体制が、20年後の今なお、日本国民の上に君臨する「おぞましい権力」であることが認定されたことを意味する。

4.当研究会はこれまで、辻井さんへの不当処分問題を始め、相次ぐレール破断や尼崎事故・羽越線事故などの重大事故、信濃川からの水資源強奪、テナント商 店「ベルク」に対する不法な追い出し工作、JR西日本と国土交通省・事故調との癒着などを、JRウォッチなどとともに暴露してきた。当研究会は、これら数 々の恥ずべき事件から、JR の存在それ自体が今や日本の発展にとって大きな桎梏になっていると考えるが、それは決して驚くには当たらない。不当労働行為によって生まれた企業にそもそも法令 遵守などできるわけがないからだ。

5.JR体制の下での鉄道・公共交通復活の可能性は完全に絶たれたものと考える。政権交代が実現し、国鉄職員首切りの戦犯・自民党政権が歴史 のゴミ箱に投げ捨てられた今こそ、おびただしい犠牲を出した国鉄分割民営化を総括しなければならない。そして、公共交通復権のため、JR体制に代わる鉄道 の新たな経営形態の議論を始めなければならない。

6.当研究会は現在、JR東日本・西日本両社の株式取得に向けた準備を進めている。準備は最終段階に来ており、2009年中には両社の株式取得が完了する 予定である。当研究会は、就業規則を憲法よりも上に置き、法律書も読まずに自分たちが法律だと思っているJR経営陣の総退陣を求めるとともに、辻井さんの 闘いを全面的に支持し、今後もJR体制からの転換を求めて闘っていく決意である。

                             2009年11月17日
                             安全問題研究会
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