最後の「密着」取材!? 電化開業直前筑豊レポート

来る10月6日改正でいよいよ電化開業となる筑豊本線・篠栗線。
それに伴い、日本最後の客車ドン行も姿を消すことになります。
というわけで本日、出かけてきました。(九州の実家からだとほんとに近い。ありがたや〜)

追跡取材の対象として選んだのは2647列車(門司港17:21発)。
夕闇迫る門司港駅の櫛形ホームに、6両編成(機関車を含めると7両)が推進運転でゆっくり入線します。
今までは50系客車で統一の取れた編成だったものが、最近になって1両だけ12系が併結されるようになっていて、編成美が崩れてしまったのが やや残念。しかしこの12系、堂々フリーストップ式リクライニングシートを装備したアコモ改善車。結局、リクライニングシートに負けた私はこ の12系に席取り。
12系のシートに座ってDD51の後ろ姿を見ていると、なんだか往時の「だいせん」に乗っているような錯覚に襲われます。

やがて発車時刻の17:21、ゆっくりドアが閉まります。
「2647列車運転士さん、どーぞ」
「こちら2647列車運転士」
「2647列車、発車!」
「2647列車、発車!」
戸締め合図灯も知らせブザーもない客車列車。無線機を手にした車掌と運転士との、そんな昔ながらのやり取りの後、ゆっくりホームを抜け出しま した。

北九州都市圏を横目に見ながら列車は複々線区間(門司〜折尾間、客貨分離)を悠然と走ります。というより、この地区の過密ダイヤが、フルス ピードで走ることをなかなか許してくれません。
目下、北九州市では「2001北九州博覧祭」が開かれており、その会場最寄り駅であるスペースワールドでは特急と快速を待避。上り線を白いソ ニックが駆け抜けていきます(^^;;
以前なら、筑豊本線直通の列車が黒崎〜折尾間で貨物列車用の複線に割り込んだ後、貨物用の複線が鹿児島本線旅客用の複線に合流したところで頭 上の架線が消えていたのですが(ここからが筑豊本線専用という形になっている)、架線が張られたままの状態で昨年開業の新駅・陣原に停車。そ の後も架線はずっと付いてきます。すでに、筑豊線内数ヶ所で電化後投入予定の新車・817系を目撃しており、乗務員訓練も実施されているので しょう。
列車密度の低くなる筑豊本線に入り、いよいよ豪腕DD51のパワーの見せ所。列車は軽快に飛ばします。
途中の筑前垣生では最後の車両が、その次の鞍手でも後部2両がホームにかからず、ドアを締め切る旨の放送。このあたりはホームの短い駅が連続 しています。新幹線と九州自動車道の下を相次いでくぐると、ほどなく筑前植木。ここは新幹線との交点から2〜300m程度しかなく、地元で誘 致運動が起きている新幹線「筑豊」駅が現実になれば、乗り継ぎ駅として有望視されている駅なのです。
新入駅を過ぎ、進行方向左手に直方気動車区が見えると、列車は直方到着。乗客の大半が入れ替わり、車内は閑散としてきます。

直方を発車すると、平成筑豊鉄道伊田線の複線が寄り添い、なんと複々線になります。非電化で複線ってだけでも珍しいのに(他には室蘭本線く らい?)、非電化の複々線なんて多分日本でここだけでしょう。それも10月5日までで、1ヶ月後には片方が電化になりますが(^^;; ちょ うど私の乗っている客車ドン行を挟むように、右側の線路を筑豊線上りの気動車が、左側の線路を平成筑豊鉄道からJRに乗り入れるセメント専用 貨物列車が通過していきます。
やがて19:18、列車は無事定刻に終着・飯塚駅に着きました。
すっかり夜の帳が下りた飯塚駅ですが、頭上には前回来たときと比べて最大の変化である架線が張られています。
あと1ヶ月すれば、いよいよ817系電車が走りはじめるのです。

最近、豊肥本線の部分電化(熊本〜肥後大津間)という出来事がありましたが、今回の篠栗線のように1線区まるまる電化開業というのは、もし かすると九州島内では長崎本線・佐世保線以来かもしれません(福岡市営地下鉄開業時に電化された筑肥線も山本〜伊万里間の「西線」は非電化の まま・・・)。

10月6日の電化開業以降、博多〜直方間には通勤客を目当てに特急「かいおう」が走りはじめるそうです(かいおうの愛称は地元、直方市出身 の大関魁皇にちなむ)。
篠栗線に特急が走るのは、今回が初めてではないでしょうか。筑豊本線では「あかつき」佐世保編成が筑豊本線乗り入れをやめて以来の特急復活で しょう。
「あかつき」佐世保編成が筑豊本線乗り入れをやめた理由は佐世保線の電化だと聞いています。
他線区の電化によって特急運転のなくなった線区が電化されて再び特急の復活・・・。やはり因果は巡るのでしょうか。

さて、長々と書き連ねましたが、泣いても笑ってもあと1ヶ月。
日本最後の客車ドン行はすでに引退へのカウントダウンが始まっています。
あと1ヶ月のうちにぜひ皆様、旅情あふれる客車ドン行の旅を満喫されてはいかがでしょうか。
それと、入場者数が低迷している「北九州博覧祭」へもぜひおいでください(注:博覧会関係者の回し者ではありません(^^;;)。

以上、日本最後の客車ドン行の引退直前レポートでした。

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