JR尼崎事故、強制起訴された3社長全員無罪の不当判決
2005年、カーブで列車が脱線、乗客・運転士あわせて107名が死亡した「JR福知山線脱線事故」について、神戸地検が不起訴とした後、神戸第
1検察審査会による2度の「起訴相当」判決を受けて強制起訴されていたJR西日本の井手正敬、南谷昌二郎、垣内剛の3被告(いずれもJR西日本の
元社長)に対する裁判で、神戸地裁(第101号法廷、宮崎英一裁判長)は「事故を予見できなかった」として、3人全員を無罪とする判決を言い渡し
た。
閉廷後、神戸地裁正門前で行われた会見では、遺族側が「検察官役の指定弁護士の主張はすべて退けられ、弁護側の主張のみが丸ごと聞き入れられた。
全く理解できない」「事故当時、常に列車が遅れる状態で、当日も遅れていたにもかかわらず判決はそれには何も触れなかった。これではJR西日本は
何も変わらない」などと判決を強く批判。事故発生以来一度も遺族・被害者の前に姿を見せず逃げ回り、対話も拒み続けた井手被告の「謝罪」を「信用
できない」という声もあった。企業犯罪の責任を問うために、組織罰を導入する新法の制定を求める声も相次いだ。
遺族の意向を受け、検察官役の指定弁護士は控訴する見込み。JR史上最悪の列車事故の刑事責任を問うJR歴代3社長の裁判は、今後、大阪高裁に移
る。
今回の裁判は、JR北海道で車両や線路の安全が破局的崩壊の危機に瀕する中での判決となった。西日本でも北海道でも相次ぐ事故・トラブル。国鉄分
割民営化から28年、JR体制の破たんは明らかであり、再国有化を求める運動を強化するときだ。
(2013.10.8 「週刊新社会」2013年10月8日号 掲載)