2012年5月28日

陳 述 書

 私は団体職員をしています。避難させられた人、避難せずとも自主的に農業や自営業をやめざるを得なかった人たちに比べれば、生活を保障されています。し かし、それでもなお、私が告訴の決意をしたのは、事故以来1日たりとも忘れることなく、今日もなお続いている凄まじい精神的苦しみを知っていただきたいか らです。

 福島原発事故が起きるまで、一度も精神科の門をくぐったことのない私が、事故以降は常に不安に怯え、睡眠薬の手放せない毎日が続いています。事故以降、 精神的安定、安息を得たことは片時もありません。

 私が不安を抱えている原因は、事故が起きたことそのものよりも、原子力関係者の事故後の対応にあります。事故が収束しないこと、正確な情報を公表せず、 真実を隠そうとする原子力関係者の不誠実な態度に対する怒りと不信こそ不安の源泉です。学者たちは「放射線よりストレスのほうが身体に悪い」と繰り返しま す。しかしそのストレスも、事故がなければ発生しなかったものであり、原発事故と「不誠実な人々」が原因です。

 原子力そのものの持つ危険性もさることながら、私は科学技術に関わるすべての人たちの人格と意識の欠如こそがこの事故を招いたと考えます。過去すべての 企業犯罪や事故と同様、どんなに安全なシステム・制度・装置が作られたとしても、それを運用する学者や関係者がこの水準では次の事故は避けられません。私 は、何の罪もない子どもたちを初めとする次の世代のために、加害者らに罪を意識させ、この社会から失われてしまった人間性を取り戻すことを残りの人生の仕 事にしたいと思います。高い職業倫理を持つ検察官各位に、ぜひとも私のこの仕事に加わっていただけるよう望みます。

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